硝酸イオン Part2
農産物用語集■IFOAM
これは、アイフォームと読んで、国際有機農業運動連盟の略称になります。正式には、International Federation of Organic Agriculture Movements という名称の団体です。大変よく耳にする「オーガニック」という言葉がありますが、この団体、実はオーガニックと呼べる農法、農産物の基準を策定している団体なのです。
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(いつごろ設立したの?)
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1972年にパリ近郊で設立されました。以来、有機農業の普及に努めるさまざまな人が加盟して、現在では108か国、750の団体で構成され、本部はドイツのボンにあります。日本では、11の団体が加盟しています。比較的小さな規模の農家や、農業の団体、有機の認証を行っている団体、はたまたコンサルタント,消費者などいろいろな立場の人が、有機農業の普及という目的のもとに参加しています。野菜だけでなく、コーヒー、衣料や医薬品の素材、などすべての農産物が「オーガニック」であることを推奨しています。
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(どんな活動を行っているの?)
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「有機」であることを認証するための基準を作っています。このIFOAMでつくられる基準は、世界各国の認証団体や検査の基準のもとになっていることが多く、そのため「オーガニック基礎基準」(基準を作るための基準、basic standerd)といわれています。また有機認証を行う団体の適合性を認定するための認定基準も提案しています。2年に一度開かれるIFOAMの総会では、加盟する団体個人からの意見に基づいて、これらの基準の見直しが行われます。IFOAMという民間の団体が推奨する基準が、法的な意味づけをもつ公的認証機関の基準のもとになっているわけなのです。
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(「オーガニック基礎基準」の内容は?)
3年間農薬も化学肥料も使われていない農地で、農薬も化学肥料も使わずに栽培した作物を指します。日本の「有機JAS」マークの基準が、「栽培機関だけでなく、種をまく前、または植えつける少なくとも2年前から、農薬および化学肥料が使われていない農地で栽培された農産物」となっています。比較すると、農地に農薬、化学肥料が使われていない期間がIFOAMは「3年」、「有機JAS」が「2年」と、IFOAMがより厳しい基準となっています。IFOAM自体は認証機関ではないので、その下部組織であるコーデックス委員会やIFOAMが認定する認証団体によって、認証業務が行われています。
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(参考)
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International Federation of Organic Agriculture Movements
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http://www.ifoam.org/index.html
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非営利活動法人IFORMジャパン
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http://www.ifoam-japan.net/
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硝酸イオン Part2
海外産と国内産の野菜に含まれる硝酸イオン濃度と調理の影響
硝酸イオン Part2
海外産と国内産の野菜に含まれる硝酸イオンの比較
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このところ,何かと話題になる外国産の野菜ですが,日本の食糧自給率は40%.いまや私たちの食卓は,外国産の野菜がなければ成り立たなくなってしまっています.今回は,この外国産の野菜と国内産の野菜で,含まれる硝酸イオン濃度を比べてみたいと思います.
冷凍食品や缶詰などの加工食品の原材料に海外でとれた食材が使われていることが多いように思います.ですが,この加工食品のなかの食材の硝酸イオン濃度を計ることはなかなか難しいように思います.そこで,今回は外国産のなま食材を求めていくつかのスーパーマーケットを探し回り,ようやく手に入ったブロッコリーについてみてみます.
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(ブロッコリー【1】)
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都心(東京都港区)にある比較的小規模のスーパーマーケットで購入しました.大きな繁華街も程近く,住宅も散在する大都会の一角.この当たりに住む家庭の食卓にのぼるありとあらゆる食材が,整然と売られています.購入したブロッコリーの産地表示には国内の都道府県名が表示されています.300g,198円.
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写真1 国内産のブロッコリー
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(ブロッコリー【2】)
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ブロッコリー【1】を購入したスーパーマーケットの近くにあるお店で購入しました.このお店は,繁華街にあるレストランの仕入れにも利用されているらしく,ネギがダンボールごと売らています.ブロッコリーの産地表示には海外の国名が表示されていて,3つ入ったパッケージで売られていました.3つで計865g,368円.
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写真2 海外産のブロッコリー
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(測定方法)
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せっかくなので,ブロッコリーの可食部と本来は捨てることになる茎の部分に分けて,硝酸イオン濃度を測定してみます.ほうれん草と違い,これまで行っていたすり鉢でする方法だけでは水分が抽出されそうにないので,今回はミキサーでペーストをつくることにしました.まず,可食部と茎に分けて,それぞれ20gずつ取り分けます.
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写真3 20gずつ取り分けた試料(左:国内産,右:海外産,手前:可食部,奥:茎)
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それぞれに水道水40mLを加え,ミキサーにかけてペースト状にし,晒し木綿で濾過します.その濾液に含まれる硝酸イオン濃度を測定しました.
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写真4 試料をミキサーの容器に入れる
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写真5 試料をミキサーにかける
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写真6 ミキサーで攪拌した試料
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写真7 ミキサーで攪拌した試料を濾過
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写真8 濾液(測定サンプル,左:国内産,右:海外産,手前:可食部,奥:茎)
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(測定結果)
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上の表のような結果となりました.可食部についてみると,海外産のものが国内産のものの4倍近い値を示しました.茎の部分は,国内産のもののほうが少し高い値を示しました.
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1. ミキサーをかける時間
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今回は,実は初めての方法で手馴れていなく,日本産のものよりも外国産のほうがミキサーにかける時間が長くなったように思います.もしかすると,このことが硝酸イオンの測定値に何か影響するのかもしれません.機会を見て,ミキサー時間の影響を検証してみたいと思います.
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2. 施肥の仕方
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可食部の硝酸イオン濃度は4倍もの差があるのに,茎の部分にはそれほど大きな違いがないのは,施肥の仕方にお国柄があるのかとも考えられます.たとえば,日本では土壌に肥料をおくが,海外ではブロッコリーの上から降りかけるとか,いろいろ想像してしまいます.この点からも機会をみて考察を深めたいと思います.
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硝酸イオン Part2
無化学肥料の牧草と牛乳の硝酸イオンの関係
牛乳に含まれる硝酸イオン濃度
少しおおきなスーパーマーケットの乳製品コーナーに行くと,いろいろな種類の牛乳が売られています.乳脂肪の量を減らしたものや,殺菌方法にこだわったもの,牛の種類など,いろいろな着眼点でお客のニーズを満たす商品がたくさん用意されています.先日、都内の外国人の多い街にあるスーパーマーケットをうろうろしていたら、偶然にも,飼料としての牧草に「無農薬,無化学肥料」であることをうたっている牛乳を見つけました.それで,この商品を含めて今回はいくつかの牛乳を選んで硝酸イオン濃度を測定してみることにします.
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(試料)
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【A】牛乳
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比較的大規模なスーパーマーケットで購入.周辺は大使館などもある住宅地.そのためか外国人のお客さんが多いらしく,乳製品の品揃えはかなり充実しています.この牛乳のパッケージに「無農薬,無化学肥料の牧草で育った牛」と書いてあります.殺菌方法は低温殺菌(65℃,30分),乳脂肪分3.2%以上.1Lで420円という高価格商品です.
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(【A】牛乳のパッケージ)
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【B】牛乳
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【A】牛乳を購入した同じスーパーマーケットで購入.比較的大手の乳製品メーカーの商品です.殺菌方法は低温殺菌(66℃,30分),乳脂肪分3.6%以上.価格は1Lで200円前後.
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【C】牛乳
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住宅街にある通常の規模のスーパーマーケットで購入.ここでしか見ないパッケージの商品.比較的小規模ブランドなのではないかと思います.殺菌方法は低温殺菌(65℃,30分),乳脂肪分3.8%以上.価格は1Lで200円前後..
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(測定方法)
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各試料とも,そのままスポイトで,硝酸イオンメーターに取り分けました.
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(測定結果)
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予測どおり,「無農薬,無化学肥料の牧草で育った牛」からの高価格の【A】牛乳が,低い値を示しました.乳牛は,かなり大量の牧草を食べて育つわけですから,牧草の生育環境が少なからず,商品としての牛乳にも影響しているのでしょう.
今までは,施肥する野菜そのものの硝酸イオンを測ってきましたが,今回見られた測定値の差が,飼育中の餌の影響によるのもだとすると,肉,ソーセージやベーコンなどの加工肉,チーズ,ヨーグルトなど牧草を食べて育つ動物からの加工食品には,野菜と同じように肥料の影響があるのではないかと思います.
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硝酸イオン Part2
アルコール飲料に含まれる硝酸イオン
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お茶のほかによく飲まれる嗜好品に,忘れてはならないアルコール飲料があります.今回は,星の数ほどあるアルコール飲料のなかから,蒸留の工程のない種類を選んで硝酸イオン濃度を測定してみました.おそらく,蒸留されると,原料である農産物の影響がほとんどなくなってしまうのではないかと考えたからです.
お茶と違ってアルコール飲料は,何かの機会にたくさんの量をいちどきに飲む人や,何を忘れても晩酌だけは欠かさないとい人など,人によってまた日によって摂取量が様々で、また頻度もかなり違うという飲み物.もちろん,お茶よりもたくさんの量を飲む人も多いので,それなりに含まれる硝酸イオン濃度が気になるところです.
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(試料)
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蒸留の工程のないアルコール飲料を選んで,硝酸イオン濃度を測定します.いずれのアルコール飲料もコンビニエンスストアで購入しました.
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■白ワイン
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ハーフボトルで購入.アルコール12%,産地はラングドック地方,ブドウはソービニヨンブラン.
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■赤ワイン
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ハーフボトルで購入.アルコール13%,産地はラングドック地方,ブドウはカベルネソービニヨン.
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■ビール
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350mL缶入りで購入.アルコール5.5%.
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■清酒
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アルコール13%以上14%未満.
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(測定方法)
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各試料とも,そのままスポイトで,硝酸イオンメーターに取り分けました.
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(測定結果)
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■清酒(日本酒)は低い値を示す
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今回測定した4つのアルコール飲料のなかでは,清酒が一番低い値を示しました.清酒は蒸したお米を麹・水と合わせて仕込み,上澄みを濾過して製品とします.蒸留こそしませんが,ワインやビールと違って,瓶詰めの際に濾過した上澄みを50~60℃に加熱する「火入れ」という工程があります.これは,加熱することで,上澄みに残っている酵母の酵素の働きを止める目的で行われるものです.
野菜も加熱すると,硝酸イオン濃度が低くなりますので,この「火入れ」の工程によっても硝酸イオン濃度が低くなることが考えられます.日本酒の中には,「生酒」と呼ばれる,「火入れ」の工程のない種類のものもあります.機会をみて,この「生酒」の硝酸イオン濃度も測定してみたいと思います.
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■赤ワインと白ワイン
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赤ワインは,潰したぶどうに酵母を入れて発酵させますが,白ワインは潰したぶどうをさらに絞って,その絞り汁だけを発酵させます.当然,肥料の影響は,白ワインの原料であるぶどうの汁だけの状態よりも,赤ワインの原料である果皮も残っている潰しただけのぶどうのほうが,より大きく残っていると考えられます.今回の測定結果も,赤ワインのほうが,白ワインの2倍以上の濃度を示しました.
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■ビール
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ビールは,発芽した大麦に水などを加え,さらにホップを加えて加熱し,濾過した液体を冷却・発酵させて製品とします.ですので,原料のなかで施肥されて栽培される農産物は,大麦とホップです.過熱の工程のある割には,硝酸イオン濃度は比較的高い値を示しました.大麦やホップの栽培時に使われる肥料の量を調べてみたいと思います.
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硝酸イオン Part2
農産物用語集■肥料取締法
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肥料に関係する法律はいくつかありますが,今回はこの厳めしい名前のついた法律について調べてみます.
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(いつごろできた法律なの?)
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現在の肥料取締法は,1899(明治32)年および1901(明治41)年に制定された旧肥料取締法を全面改正して1950(昭和25)年に制定されたものです.すでに掲載済みの記事「化学肥料のこれまで」にあるように,1874(明治11)年に開校した駒場農学校で肥料を用いた近代農業の教育がはじまり,1887(明治20)年東京人造肥料会社が設立され,化学肥料が工業的に生産され販売されるようになります.しかしながら,販売当初は,今までの肥料は人糞と堆肥がほとんどで、油粕やニシン粕すらまれにしか使わないような農家がほとんどだったため,この新しい肥料の価値が浸透するまでには時間がかかったようです.日清戦争(1894<明治27>~1895<明治28>年)を契機に急速に広まりました.その機に乗じて偽装した肥料で荒稼ぎしようという輩が出るほど,大変な勢いで受け入れられたことが想像されます.その後わずか数年,肥料取締法制定により法に則った肥料成分の規格化がされることになったわけです.
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(肥料を取り締まるとは?)
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1916(大正5)年7月11日付けの神戸新聞に「不正肥料取締注意」と題した記事が掲載されています.「不正粗悪肥料を供給し甘言以て農家を瞞着し不正の暴利を貪るもの少からず」とあるように,原材料をごまかし,「これを撒くとよく育ちますよ」を言葉巧みに農家を誘い,粗悪肥料を購入させて不当な利益を得る,いわば肥料の偽装詐欺が横行していたことがうかがい知れます.この記事よれば,下記のような肥料の偽装に注意を呼びかけています.
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■肥料荷粉
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倉庫の肥料を出荷したあとの脱漏物からなる雑質の肥料.本来は少し,土砂や塵介が混入しているものなのが,ほとんど土砂や塵介というものを,肥料と称して売り歩く.
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■偽造肥料
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本来は,動植物油精製所より廃物として生産する油の搾りかす(油粕)だが,偽装品は粘土の細粉末に油のおりを吸収したもの.色も似ている.
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■塩入鰹煮粕
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蕎麦屋や料理屋から出るだしがらの鰹を集めて乾したもの.塩を入れるのは,雨が続くときに腐敗防止のために混入させる.本来は塩入を明示して販売するものだが,なかには塩入にもかかわらずこれを隠して高品質高価格の肥料として売られているものが発見された.
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■他物混合肥料
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良質の魚肥に低価格の粗悪な魚肥を混合したもの.
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■毛屑肥料(または毛泥とも云う)
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羊毛の加工工程で洗浄される際に出るくずの羊毛を集めて乾燥したものが本来の肥料.偽装品は,ほとんどが土砂でそれにほんの少し,この羊毛を混ぜたもの.
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■アンモニア挽粉(硫安硝石下敷挽粉等の名あり)
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硫酸アンモニア硝石などを輸入する際に,船底の腐蝕を防ぐために鋸屑を敷く.この鋸屑を多少とも肥料成分を吸収しているとして肥料としたものが本来のもの.偽造品は,この鋸屑に通常の鋸屑を混ぜて量を水増ししている.
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いやはや,あの手この手でいろいろと考えるものです.なるほど,取締りの必要性が感じられます.
現在では,この法律に基づいて普通肥料の登録、肥料の生産届と販売届の受理、肥料の生産業者、販売業者への立入検査などが行われています。
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(普通肥料と特殊肥料)
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肥料取締法では,表のように肥料を“普通肥料”と“特殊肥料”に分けています.1983(昭和58)年に指定配合肥料、外国生産肥料の登録等に関する大きな法改正があり,2003(平成15)年の改正では,人畜に被害を生ずると認められる肥料の生産,輸入,販売の禁止等「国民の健康の保護」が盛り込まれました。
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(参考)「神戸大学附属図書館デジタルアーカイブ」
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硝酸イオン Part2
お茶の硝酸イオン濃度のまとめ
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これまで測定してきたお茶の硝酸イオン濃度についてまとめながら、もう一度比較して考察してみます。まず、これまでの測定結果をグラフにまとめます。
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■日本茶の硝酸イオン濃度は高い
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測定したお茶の種類では、日本茶が高い硝酸イオン濃度を示しています。以前、「農産物用語集■有機農産物と特別栽培農産物
」の記事のなかで、「“東京都特別栽培農産物認証制度”による認証対象の基準」をとりあげたことがあります。そのなかで東京都で行われる栽培法で化学肥料の使用量を抜粋してみましたが、それによると、10アールの耕作地あたり、ほうれん草は15kg(窒素成分)、大根は20kgなのに対し、お茶は45kgも使われることになっており、お茶の栽培にはほうれん草や大根に比べて、より多くの、実際には倍以上の肥料が使われることがうかがい知れます。
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今回測定した結果でお茶の硝酸イオン濃度の値がほかのお茶の種類に比べて高くなったことと、お茶の栽には比較的多くの肥料が使われることにはなにかつながりがあるように思います。また、今回測定した、「特別栽培」の日本茶は、その表示のないものよりも硝酸イオン濃度の値が低くなったことは、「特別栽培」では慣例の栽培法で認められた量の約半分の肥料しか使われていないことが影響しているものと思います。日本茶を購入する際には、「有機栽培」、「特別栽培」の表示を商品を選ぶことで硝酸イオンの摂取を控えることに役立つようです。
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■お茶は発酵させることで硝酸イオンが少なくなる
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高い値を示した日本茶ですが、発酵の工程を経て製品化すると硝酸イオン濃度も減ることが今回の結果からわかります。半発酵茶であるウーロン茶、発酵茶である紅茶と、発酵の度合いが進んでから製品化したお茶ほど、硝酸イオン濃度が低い値を示しました。
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■コーヒーは栽培法によって硝酸イオン濃度に大きな違いがみられない
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日本茶に比べると、コーヒーは栽培法による硝酸イオン濃度に大きな変化はありませんでした。また、紅茶ほどではないものの今回測定したお茶の種類のうちでは硝酸イオン濃度が低い値を示しました。
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■お茶からの硝酸イオンの摂取を控えるには
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今回の測定結果から、大雑把に硝酸イオンの摂取を控えるためのお茶の選び方をまとめてみます。まず、紅茶がおすすめ。アールグレイなど香りのついたお茶でもOK!次にコーヒー。その次にウーロン茶や日本茶ですが、この二つはとくに「有機栽培」、「特別栽培」などの表示のあるのもがよいでしょう。ハーブティーはいろいろな種類がありますが、もし毎日飲まれるようなら発酵の過程を経た製品があれば、そちらのほうがより硝酸イオンの濃度が低く抑えられていると考えられます。
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硝酸イオン Part2
紅茶とフレーバーティーの硝酸イオン濃度
硝酸イオン Part2
日本茶とウーロン茶の硝酸イオン濃度
硝酸イオン Part2
コーヒーの硝酸イオン濃度
硝酸イオン Part2
農産物用語集■有機農産物と特別栽培農産物
硝酸イオン Part2
化学肥料のこれまで
「いつもよりうまい。味がいい。いつも食べているやつよりも風味がある」
二人はさらに笑顔をつくった。ロッソフが言った。「野菜は八○年代には化学肥料や殺虫剤を使わず、また植える前に特別な処置も受けないで育てられていたんだ。防腐剤も、添加物もなかった。」コックが言った。「そして、ボイルした水は、塩素入りでなかった。」
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これは、懐古主義の精緻な描写で知られたアメリカの作家ジャック・フィニイ(Jack Finney、1911-1995)のSF作品「Time and Again(1970)」の中の一場面(出典:「ふりだしに戻る」福島正実訳、角川書店、昭和48年7月15日 初版)。主人公のサイモンは、ニューヨークで平凡な毎日を過ごすデザイナー。ある日ひょんなことから、タイムトラベルを目論む政府のプロジェクトのメンバーに抜擢され、そのためのトレーニングとしてほぼ100年前の1880年のニューヨークを細部にわたるまで再現した空間のなかで、生活をはじめることになります。ここで紹介したのは、想定される過去時代の食事のトレーニング中にプロジェクトの政府側担当者「ロッソフ」と主人公サイモンの間でかわされた会話。小説のなかの台詞ではあるものの、この小説が書かれた今からおよそ30年以上も前の1970年代にもすでに、化学肥料や殺虫剤を使うことで、野菜の風味が落ちるのではないかという視点があったことがわかります。そこで、今回は野菜の硝酸イオンとも大いに関係のあると考えられる「化学肥料のこれまで」を大まか振り返ってみたいと思います。
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(1840年 植物の無機栄養説の提唱)
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ドイツ人のユスタフ・フォン・リービヒ(Justus von Liebig)は、植物は、空気中の二酸化炭素から「炭素」を、土壌中から「窒素」や「リン」などを吸収し、それをもとにからだを構成する有機物質を光合成によって作り出していると提唱し、実験でそれを証明しました(『有機化学の農業および生理学への応用(Die organische Chemie in ihrer Anwendung auf der Agrikultur und Physiologie)』)。それまで、アリストテレス以来信じられてきた腐植説(植物は死んでしまうと腐植となり、土壌に含まれる腐植が生きている植物の栄養の源となるという考え方)がこれを機に大きく方向転換することになります。この考え方が基礎となって、化学肥料が生まれることになったので、リービヒは「化学肥料の父」とも呼ばれています。
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(1843年 過リン酸石灰の生産開始)
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ドイツでリービヒが無機栄養説を提唱した同じ頃、イギリスでもギルバート (Joseph Henry Gilbert) とローズ (John Bennet Lawes)が、同じように植物の生育には無機物質が欠かせないことを実証しました。さらにローズはリン鉱石に硫酸に加える肥料工場を建設して、工業的に過リン酸石灰の生産を始めました。
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(1913年 アンモニア合成の成功)
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ドイツのフリッツ・ハーバー(Fritz Haber)とカール・ボッシュ(Carl Bosch)によって、空気中の窒素と酸素からアンモニアを工業的に合成する方法が開発されました。それまでは自然界に存在する硝石などの窒素肥料が使われていましたが、この方法が開発されたことで、窒素肥料を工業的に生産することができるようになったのです。これにより小麦の栽培に適さないやせた土地を改良し、食糧供給を増やすことができるようになり、このことが以降の人口増加に大きく貢献しました。
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(日本での化学肥料の普及)
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日本の農学発祥といわれる駒場農学校が開校したのが1874(明治11)年。明治14(1881)年にはドイツ人オスカル・ケルネル(Oskar Kellner)が、農芸化学の外人教師としてドイツより着任しました。それまで、人糞、堆肥などの有機肥料しか使わなかった日本の農業に化学肥料を用いる近代的な土壌肥料学を紹介しました。
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また、タカジアスターゼやアドレナリンの発見などの功績を残した高峰譲吉も、化学肥料の普及に強いかかわりのある人です。大学卒業後農商務省からイギリスへ留学し、化学製造所で過リン酸肥料の製造を見学した高峰は、その後、1884(明治17)年に米国ニューオリンズで行われていた万国博覧会で、過リン酸石灰とりん鉱石を購入し日本に持ち帰ります。当時の実業家に渋沢栄一に日本における化学肥料生産の重要性を説き、その協力を得て、1887(明治20)年東京人造肥料会社が設立されました。
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こうして、生産販売された化学肥料も、人糞と堆肥がほとんどで、まれに油粕やニシン粕を使うような農家がほとんどだった当時には、化学肥料はあまり受け入れられず、この会社の収支が合うまでには数年かかったようです。日清戦争(1894<明治27>~1895<明治28>年)前後から需要が急増しはじめます。本格的に日本に化学肥料が広まったのは、このころといえるでしょう。
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(参考資料)
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ウィキペディア フリー百科事典「過リン酸石灰」
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href=http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%81%8E%E3%83%AA%E3%83%B3%E9%85%B8%E7%9F%B3%E7%81%B0/a>
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財団法人渋沢栄一記念財団 実業史研究情報センター
href=http://www.shibusawa.or.jp/center/shashi/shasi_ta.html/a>
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硝酸イオン Part2
野菜だけの懐石料理!?
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