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肥料に関係する法律はいくつかありますが,今回はこの厳めしい名前のついた法律について調べてみます.
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(いつごろできた法律なの?)
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現在の肥料取締法は,1899(明治32)年および1901(明治41)年に制定された旧肥料取締法を全面改正して1950(昭和25)年に制定されたものです.すでに掲載済みの記事「化学肥料のこれまで」にあるように,1874(明治11)年に開校した駒場農学校で肥料を用いた近代農業の教育がはじまり,1887(明治20)年東京人造肥料会社が設立され,化学肥料が工業的に生産され販売されるようになります.しかしながら,販売当初は,今までの肥料は人糞と堆肥がほとんどで、油粕やニシン粕すらまれにしか使わないような農家がほとんどだったため,この新しい肥料の価値が浸透するまでには時間がかかったようです.日清戦争(1894<明治27>~1895<明治28>年)を契機に急速に広まりました.その機に乗じて偽装した肥料で荒稼ぎしようという輩が出るほど,大変な勢いで受け入れられたことが想像されます.その後わずか数年,肥料取締法制定により法に則った肥料成分の規格化がされることになったわけです.
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(肥料を取り締まるとは?)
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1916(大正5)年7月11日付けの神戸新聞に「不正肥料取締注意」と題した記事が掲載されています.「不正粗悪肥料を供給し甘言以て農家を瞞着し不正の暴利を貪るもの少からず」とあるように,原材料をごまかし,「これを撒くとよく育ちますよ」を言葉巧みに農家を誘い,粗悪肥料を購入させて不当な利益を得る,いわば肥料の偽装詐欺が横行していたことがうかがい知れます.この記事よれば,下記のような肥料の偽装に注意を呼びかけています.
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■肥料荷粉
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倉庫の肥料を出荷したあとの脱漏物からなる雑質の肥料.本来は少し,土砂や塵介が混入しているものなのが,ほとんど土砂や塵介というものを,肥料と称して売り歩く.
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■偽造肥料
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本来は,動植物油精製所より廃物として生産する油の搾りかす(油粕)だが,偽装品は粘土の細粉末に油のおりを吸収したもの.色も似ている.
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■塩入鰹煮粕
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蕎麦屋や料理屋から出るだしがらの鰹を集めて乾したもの.塩を入れるのは,雨が続くときに腐敗防止のために混入させる.本来は塩入を明示して販売するものだが,なかには塩入にもかかわらずこれを隠して高品質高価格の肥料として売られているものが発見された.
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■他物混合肥料
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良質の魚肥に低価格の粗悪な魚肥を混合したもの.
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■毛屑肥料(または毛泥とも云う)
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羊毛の加工工程で洗浄される際に出るくずの羊毛を集めて乾燥したものが本来の肥料.偽装品は,ほとんどが土砂でそれにほんの少し,この羊毛を混ぜたもの.
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■アンモニア挽粉(硫安硝石下敷挽粉等の名あり)
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硫酸アンモニア硝石などを輸入する際に,船底の腐蝕を防ぐために鋸屑を敷く.この鋸屑を多少とも肥料成分を吸収しているとして肥料としたものが本来のもの.偽造品は,この鋸屑に通常の鋸屑を混ぜて量を水増ししている.
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いやはや,あの手この手でいろいろと考えるものです.なるほど,取締りの必要性が感じられます.
現在では,この法律に基づいて普通肥料の登録、肥料の生産届と販売届の受理、肥料の生産業者、販売業者への立入検査などが行われています。
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(普通肥料と特殊肥料)
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肥料取締法では,表のように肥料を“普通肥料”と“特殊肥料”に分けています.1983(昭和58)年に指定配合肥料、外国生産肥料の登録等に関する大きな法改正があり,2003(平成15)年の改正では,人畜に被害を生ずると認められる肥料の生産,輸入,販売の禁止等「国民の健康の保護」が盛り込まれました。
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(参考)「神戸大学附属図書館デジタルアーカイブ」
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