堀場製作所の硝酸イオンメータを使った硝酸塩濃度のレポート第15回目は、日本における硝酸イオンへの取り組みがわかるサイトをまとめました。
帯広市農業技術センターでは、RQフレックスという測定器を使って、定期的に農作物を調査しているようです。
独立行政法人農林水産消費技術センターでは、農産物の安全・安心の取り組み~農場から食卓まで~という共同ワークショップが行われており、基調講演で、野菜の硝酸塩に触れています。その資料を見ることができます。
三重県中央農業改良普及センターでは、平成16年~18年にかけて、硝酸塩低減化をはかるための研究目標が定められたようです。
静岡県農業試験場を含む20機関では、平成14年から葉菜類の硝酸塩低減化技術の開発に着手しているようです。静岡農試では、県の特産品であるチンゲンサイを対象の作物として研究し、その概要が紹介されています。
神奈川県農林水産情報センターでは、ほうれん草の硝酸塩とシュウ酸塩濃度に関する調査結果が2005年3月に掲載されています。硝酸塩とシュウ酸塩に相関性があることがわかります。
関東東海北陸農業試験研究推進会議で、平成14年度から行われている高度化事業「野菜における硝酸塩蓄積機構の解明と低減化技術の開発」の成果の報告会が平成16年2月に行われたようです。「葉菜類の硝酸塩低減化に向けた技術研究の現状と今後の展開」が課題として挙げられ、報告・議論されたようです。
農業総合試験場ニュース平成14年9月より
関東東海土壌肥料研究会が、2002年9月12日~13日栃木県下において開催され、試験研究機関、関係団体、メーカー関係者約150名が参集し、 「硝酸をめぐる諸問題-作物中硝酸塩の低減化を目指して-」について討議されました。
「 作物中の硝酸塩については、WHOで許容摂取量に制限が設けられており、 諸外国では野菜に含まれる硝酸含有量に上限値を設定している。 日本で生産される葉菜類はこの上限値を越えているものもあり、安全な農産物を安定的の供給する上で、 硝酸濃度の低減化と世界水準値への適応に向けた取り組みが緊急の課題である。」とまとめられています。
農林水産消費技術センター主催の食の安全・安心ネットフォーラム(平成16年1月19日開催)において、農林水産省 農林水産技術会議事務局 研究調査官 若生 忠幸 氏が基調講演をされました。その中で、以下の通り、硝酸塩に関しても触れています。
「野菜中に硝酸塩が高濃度に含有する場合、体内で亜硝酸を経て発ガン性のニトロソアミンに変化することが懸念され、EUなどでは上限値が決められています。またホウレンソウに多く含まれるシュウ酸は、味を低下させるだけでなく、結石の原因になるといわれており、品種育成や栽培面からこれらの成分の低減化に取り組んでいます。同時に、硝酸含量の非破壊計測法を中心とした分析法の開発を行っています。」
最後に、民間企業が硝酸塩への取り組みについて、まとめている資料です。
以上、各地の農業試験場において、硝酸塩の研究がされていることがよくわかりました。2002年(平成14年)~2004年(平成16年)のレポートが多く、その後、どうなっているのかが気になります。
また、生産者レベルでの取り組みがはじまっているようですが、現段階では一般消費者に向けての情報が少ないこともあり、農薬や有機という言葉に比べて、「硝酸塩」への関心や問題意識は浸透していません。
これだけ盛んに行われてきた試験場における硝酸塩への取り組みは、農家さんまで情報として伝わっていないのでしょうか?もしくは伝わっていても、消費者の意識が低ければ、その対策を講じようとするまでに至らないと判断されてしまう可能性もあるのでしょう。
消費者が問題意識を持たない限り、改善への道のりはだいぶ長くなりそうです。
日本の政府は、まだ基準値を設けていません。農薬などは、徐々に基準値が厳しく定められる方向へ変わってきています。硝酸塩に対する基準値の設定も近い将来行われることを期待します。それまでの間、生産者レベルで、自主的に硝酸塩濃度への対策を行っていただけることを願うしかありません。