
かねてより告知してきましたが、横浜市立東山田中学校で酸性雨のpHを計測するという授業を開講することになりました。
東山田中学校は、理科の授業のためにウェザーバケットを屋上に設置し、データを活用しているという先進的な取り組みをしている学校です。それならばもしや、堀場製作所の計測機器を使って特別授業を開講したら面白いのではないか?ということで同校の校長先生のご尽力で、特別授業が開催されることになったのです!
同校では選択授業という枠があり、そこには比較的、通常の授業よりも関心の強い生徒さんが集まるということで、そうした授業をぶつけていきたいんだ、ということなのでした。

こちらが選択理科を受け持っておられる三村先生。
「外部の方が授業をやってくださると、いつもとは違った知識を得ることが出来ますし、何より生徒にとっては新鮮なことなので、意欲が違うはずです。是非お願いいたします!」
ということでした。さてこの授業を受け持つのは、堀場製作所の技術畑をずっと歩んでこられた、ミスター計測器こと永井さんです。

永井さんは、堀場製作所の計測機器の開発を第一線でずーーーーーっと続けてこられました。ですから、本当に計測のことについてはプロ中のプロ。その永井さんがこうした授業を行うのは、
「少しでも環境マインドを持った生徒さんが育って欲しいから。日常の中で何か疑問を感じたら『すぐ計測!』って考える生徒さんが増えるといいなぁ、と思ってます(笑)」
ということなんですねー。そんな生徒、増えればいいけど、ちょっとすごいな、、、
さて、そんな永井先生が準備しているのは、ギョッとしてしまうものですねー。

水道水、梅干し、コーラ、石けん水、ボディソープ、歯磨き粉、レモン、油汚れ洗剤、家庭用洗剤、コンニャクのパックに入っている汁、各種のジュース(オレンジジュースやコーラ)といったものが12種類。これらの実験試料のpHを測ってみようというのが今回の授業なのです。

黒板に貼られた数字の羅列シート。色がグラデーションで変化していく様をみれば、何を示すかおわかりでしょう。そう、これはリトマス試験紙で試した場合に、どのような色の場合はpHがいくつかを表すモノなのです。数字の小さい方が酸性、数字の大きい方がアルカリ性というわけですね。このカードの7あたりを中性として考えるわけです。


しかし驚くのは教材の充実ぶり。さすがは計測機器のプロ、計測を教えるのもまさにプロです!

準備完了、授業のベルがなり、選択授業の生徒さんがグループごとに座ります。

この授業は、選択理科という枠で、通常のクラスとは違って理科に関心の高い生徒さん達が集まったものなのです。
さてさて先生の授業開始。

「えー みなさんは、液体には酸性とアルカリ性という二つの性質があるのをご存じですか?これをpHという単位で表します。pHは水溶液の性質を表す単位です。」

「レモンを舐めると酸っぱいですね。レモンの汁をリトマス試験紙につけると赤くなると思います。つぎに石けんの汁を舐めると、ぬるぬるして苦いと思います。これをリトマス試験紙につけると青くなります。赤くなったのは酸性、青くなったのはアルカリ性なんですね。」
こうした基本的なpHに関する知識を教え終わると、いよいよ実験開始です。
「リトマス試験紙は色で判断しなければなりませんけど、堀場製作所のpHメータは、水溶液をセンサー部に垂らすと、pHを数値で表してくれます。これをつかって、12種類の試料のpHを測ってみてくださいね」
さきほどからpHメータに興味津々だった生徒さん達がいっせいに動き出します。1テーブルに4つのセンサーがあるので、各自分担して試料のpHを測ります。


スポイトで試料をセンサー部に垂らすと、数値が表示されます。
「あっ コーラはこんな酸度が高い!」
「洗剤ってアルカリなんだ、、、」
など、いままで考えもしなかったもののpH値に、みな興味津々のよう。

「一つ測定し終わったら、純水で綺麗にセンサーを洗浄してくださいね!」
クリーニングは基本の基本。選択授業で理科を受講するだけあって、みな迷いもなく、てきぱきと計測を勧めていきます。レベル高い!


三村先生もスタッフも、順調に進んでいく実験の様子をニコニコしながら見つめます。

男子も女子も、手慣れた手つきで実験を進めます。特に女子生徒が物怖じすることなく実験を進めていくのが印象的でした。



さて、あらかた測定が終わってきたところで、12種の試料がそれぞれどのような数値になったか、黒板に並べてあるpH数値シートの下に、試料のマークを配置していきます。

ええと、レモン汁はここ。
オレンジジュースはこの辺。
コンニャクの汁はけっこう高かった!
コーラは意外と、、、
等々、このように表示すると一目瞭然!

「ふうん、水道水はpH7.1か、中性になるようになっているのかな、、、」
などなど、このようにすると身の回りの液体の性質が、pHという側面からあらわになるようになっているんですね。

この日の実験で最もpHの高かったのはコンニャクの汁(pH11.6) ! pHの低かったのがレモン汁(pH2.5)という結果になりました。

「このように、身の回りの液体を調べるだけでも色んな性質があることがわかりますね。pHはその性質の一つにしか過ぎません。ぜひ皆さんには、pHだけではなくいろんな性質を計測する意識を持っていただきたいと思っています。ここまでお付き合いいただいて、どうもありがとう!」
生徒からは万雷の拍手!
この日は新聞社の取材などもあり、ものものしい格好をしたオトナが後ろからぱちぱちと写真を撮りながらの授業だったのですが、びっくりするほど生徒さん達が落ち着いていて、東山田中学校のレベル高いなぁ、とスタッフ一同で感動していたのでした。
授業後、計測機器のプロ・永井先生がほうっと一言。
「こうやってね、いろんなことを計測したいと思う子供達が増えて、その子達が社会にでてくれたらいいんですよ。科学の基本は観察。観察の精度を高めるためには計測が必要。きちんと計測ができたら、ものごとの半分くらいは理解できたと同じなんです。そういうマインドをね、もっと沢山の子供達に教えていきたいですね。」
お、ということは、これを読んだ全国の学校から問い合わせやオファーがきたらどうします?
「ええ、出前授業を前向きに検討しますよ!」
にこやかに、しかし最後までプロの顔つきのまま、永井さんはお帰りになりました、、、
徹底した計測プロ意識に脱帽!の一日だったのです。お疲れ様でした!
出前授業に関心のある教育関係者の皆さんは、ぜひ堀場製作所さんへ問い合わせをしてみてくださいね!