1.硝酸イオンとは?
硝酸イオン(しょうさんいおん、NO3-)は硝酸およびその化合物の電離、分解によって主に生じる1荷の陰イオンで、窒素化合物です. 硝酸は強い酸化剤なので、多くの金属と塩を生成します.また一般に金属の硝酸塩は水に溶解しやすい性質をもっています.
2.どこにどれくらいあるの?
硝酸イオンは,自然界にたくさんあります.動物と植物の体の構成要素であるたんぱく質,このたんぱく質に欠かせないのが窒素(N)という元素であり,窒素を体の中に取り込む際に,窒素そのままではなく硝酸イオンの形で入り込んでいるのです.
土の中には,動物の死がいや排泄物中のアンモニアを酸化して,植物が取り込みやすい硝酸イオンにかえる働きをする細菌がいます.土のなかから取り込んだ硝酸イオンと光合成の働きで作られた炭水化物とで,植物はたんぱく質を作ります.こうして作られたたんぱく質を私たちヒトを含めた動物はは,野菜や果物として食べて体を作り生きていきます.私たちの排泄物や動物の死がいの中で窒素は,アンモニアとして存在し,土の中で細菌はアンモニアを硝酸イオンの形に変え,そして植物が再び取り込んでいきます.こうして作られる自然界の窒素を中心としたサイクルを窒素循環と呼び,硝酸イオンはこのサイクルをまわすために欠かせない役割を担っています.
3.野菜と硝酸イオン
野菜を育てるために,よく肥料が使われていることはごぞんじでしょう.この肥料には,植物が取り込みやすいようにアンモニアや硝酸塩が含まれています.そうすれば,植物の根からは,たくさんの硝酸イオンが取り込まれることになりますね.大量に植物が取り込んだ硝酸イオンは,すべてたんぱく質の構成要素として使われずに,そのまま硝酸イオンとして残ってしまいます.また、野菜に残った硝酸イオンは、調理によってその一部が流れ出ることがわかっています。
4.食べるとどうなるの?
たくさんの硝酸イオンがふくまれた野菜を食べるとどうなるのでしょう.実は,私たちの体の中でも硝酸が作られていて,植物から吸収した以上に体内には硝酸があることがわかっています.それで,硝酸イオンを少しばかり多く食べても,健康にすぐには影響があるとは考えにくいのですが,これまでよりも大量に長い間,硝酸イオンを食べつつけた場合どうなるのかは,はっきりしたことはわかっていません.ご参考まで食品に含まれる硝酸イオンと健康に関連したトピックを紹介します.
5.ニトロソアミンとは?
これは,発がん物質のひとつですが,硝酸イオンをたくさん摂取するとこのニトロソアミンが体内で作られる可能性が指摘されています.つまり,食事とともに摂取した硝酸イオンは口の中で,口腔内の細菌によって一部が亜硝酸に変わります.この亜硝酸と,お肉やお魚から摂取したアミンが結びついて,胃のなかでニトロソアミンができるのではないかといわれています.
6.ブルーベビー症とは?
赤ちゃんは,胃散の分泌が大人ほど十分でないために,胃のpHが上がり,細菌が住みやすくなります.それで大人では口の中にしかいない細菌が胃の中にも住むようになり,口腔内細菌によって硝酸は亜硝酸にかえられます.この亜硝酸が,血液中の酸素を運ぶヘモグロビンと結合してしまい,本来のヘモグロビンの持つ酸素の運搬能力を損ねてしまうのです.このようなことから,赤ちゃんがチアノーゼや酸欠を起こしたという報告があります.