さて前置きが長くなりました pH計の測定テストリポートです
pH計のテストに応募させていだたいた理由は、今まで使っていたフナコシのpH計「pH5011A」と堀場コンパクトpHメータ「Twin pH」の使い勝手が、どのように違うものかを試したかったからです。
小学生時代からラジオ少年の自分は、当時から秋葉原は目をつぶっていても歩けるくらいの、自分の庭でしたし、父親のアナログのテスターを拝借したのが測定器との付き合いの始まりでした。その後、サウンドエンジニアを職業としたためか、音に対しての「フラット」感、つまり周波数特性が「フラット」でるあことの状態を体に叩き込まれましたので、聴覚ばかりか、視覚はまだしも、味覚まで「フラット感」がないと居心地の悪い体質になってしまっています。
言い換えると、自分自身がある意味で測定器になっていないと気がすまないのですね。聴覚、視覚、味覚、、さらに温度や塩分濃度、Brix等は自分の体の中に定規を持たすことも可能だと思いますが、pHを体で感じることは、残念ながら自分には出来そうもありません。なぜならばpHの「キャリブレーション」が、どのようなものかを、体が分からないからです。pHを味覚に換算できれば可能性もあるのかもしれませんが、残念ながら、まだpHと味覚の関係を掴めていません。電圧や電流は、大雑把であることを許されるのでれば、高圧、高電流でなければ、手の指や舌に感じるピリピリ感や味覚である程度把握できるのですけど。
■体で感じられないものを、直感的に把握できるアナログ表示は、やはり便利
アナログ計測器の良いところは、車のスピードメータやアルコール温度計のように
直感的に視覚で数値を把握できるところです。リトマス試験紙も色でアルカリか酸かを人目で分かります。
測定器の大半がデジタルとなった今ですが、果たして便利になったのでしょうか。例えば手元にあるBrix濃度計、塩分濃度系、pH計、温度計などは下記のとおりです。
・糖度計 アタゴPocketPAL-1
・塩分濃度計 エイシンEB-158P
・pH計 フナコシpH5011A
・料理用温度計 DRETEC クッキング温度計 O-201WT
このほかにも電気回路用テスターやオシロ、周波数カウンターなども使用していますが、こちらは今回の評価基準外とさせていただきます。
いずれの測定器もデジタルで、かつ、どれも測定している数値を表示します。
「している」と書いたのは、測定の終了を通知されないからです。
つまり常に「測定中」なのです。
もちろんアナログの測定器も同様ですから、「機能としたら同じでしょ」っと
言われるかもしれませんが、アナログの方が把握しやすい。
この理由は、アナログの針の応答スピードが遅い(=若干の遅延がある)からです。この若干の遅延(ディレイ)が目を疲れさせずに、現状を把握させやすくしています。ですからデジタルの測定器でも、応答速度がたとえ速くても、表示に関しては、ある時間の間隔ごとに、データ値を表示させるほうが、数値を把握しやすいですね。つまりデータの値をサンプル・ホールドさせて表示してくれるものです。途中の細かい経過は間引いてくれたほうがよいのです。もしも、この間の、細かい変化のデータが必要な場合には、メモリーに保存、記録しておくなりしておけば、後にツールやプログラムで、いくらでも加工したデータを扱えます。データロガー機能ですね。リアルタイム表示の場合、データ値を表示するために、サンプリング、ホールドする間隔をどのように設定するかは、例えば、対数的にとるほうが良いのか、均等に割るのがよいのか、などなど、メーカーの腕のみせどころではないでしょうか。
このようにユーザーインターフェースは使い勝手に大きく影響します
手持ちの測定器でストレスなく使っているものは、糖度計のアタゴPocketPAL-1です。次にクッキング温度計、塩分濃度計で、フナコシのpH計は正直なところ疲れます。この理由はフナコシのpH計の表示スピードが速すぎるのです。小数点以下2桁ということもありますが、サンプル・ホールドを殆どやっていないようで、データの変化をストレートに液晶に伝えているように見えます。このほうが回路の設計的には楽なのは分かりますが。目まぐるしく変化する液晶表示はうるさく、真の測定値を直感的に掴み難いです。その点アタゴPocketPAL-1はバランスがとても良く取れています。
■「キャリブレーション」はオートで設定できると嬉しい
さて「Twin pH B-212」は、その点どうでしょうか
今までの経験から言えることは
測定器の性能は「キャリブレーション」(校正)のしやすさで、ほぼ分かります
測定器のもっとも重要な要素は「キャリブレーション」(校正)の容易さと信頼性でしょう
仕事のコンテンツ作りの場合、ディスプレーのカラーバランスやガンマ調整、ビデオカメラやデジカメのホワイトバランス、オーディオのゼロVUレベル設定など、各種のキャリブレーションは不可欠です
pH計も同様ですね
「フナコシpH5011A」はpH7での1点校正
「Twin pH B-212」はpH7とpH4の2点校正です
ところで、この2機種のキャリブレーションの方法はまったく違います
「フナコシpH5011A」は本体の右側に穴が開いていて、pH7の標準液にセンサー部分を漬けながら、そこに付属のドライバーを差し込み、校正ボリュームを付属のドライバーで回しながらpH7の値になるようにキャリブレーションします。しかし、液晶表示は目まぐるしく変化しますので、正確なキャリブレーションが実にやりにくい。比較して「Twin pH B-212」は、センサー部に標準液を滴下し、キャリブレーションスイッチボタンを押すだけだけでよい、オートキャリブレーション方式なので、気軽にセットできます。しかし油断は禁物です。手持ちの糖度計、塩分濃度計も、同様にオートキャリブレーション方式なのですが、時々キャリブレーションに失敗します。大概は標準液や洗浄液の取り扱いに原因はあるのですが。失敗していることに気づかず測定を継続して、実験そのものをやり直したことが幾度かあります。ですから「Twin pH B-212」もオートキャリブレーションを100%信じるのではなく、測定中も、幾度か再キャリブレーションしたほうが安全ではないかと思い、実行しました。これは「Twin pH B-212」のオートキャリブレーションに信頼性が無いといっているのではなくて、何らかの理由でキャリブレーションが正しくおこなわれないことも、起こりうるかもしれない、という老婆心からの発言です。といいながらもオートキャリブレーション方式は便利ですね。